お知らせ 訪問看護ステーション わかあゆ
病院医療と在宅医療のちがいとは❓
在宅医療は患者が慣れ親しんだ生活の場で、自立して療養を継続するのに必要な医療を提供するものです。治療が最優先の病院医療に対し、在宅医療では、患者や家族の意思や生活の質が何よりも重視されます。その人が自分らしく生きられるように、医療面から支えることが私たち訪問看護師の役割りです。
病院医療は、病状の改善という結果を求められるので、治療を妨げるものを排除する必要があります。そのため、患者さんに「〜してください」「〜しないでください」など、お願いや指示をする場面も多々あります。患者さんは窮屈さを感じながらも、治療のため、病気を治して家に帰るためだと従ってくれます。
しかし、在宅医療で最優先されるのは、患者さんの生活であり、病院の理論は持ち込めません。病院のように24時間管理はできないので、病状の安定、生活の質の維持を図るために患者さんや家族のセルフケア能力を高めなければなりません。自分らしく暮らすにはどうすればよいか、患者さんや家族、医療者が話し合い、患者が自己決定して責任意識を持てるように、患者の力を引き出すことが、訪問看護師の役割りの一つです。
病院医療🏥
病気の治療が最優先
⚫︎患者は病気を治すために、医師や看護師の指示に従い、病院のルールを守る
⚫︎病院が24時間管理する
在宅医療🏠
患者の生活が最優先
⚫︎患者の病状が安定し、生活の質が維持できるように、看護師など医療者が支援する
⚫︎患者が自身の意思決定に基づいたセルフケアを行えるよう支援する
病院の医療というのは、一言でいうと「治す医療」です。
例えば、「転んで骨折をしてしまった」「インフルエンザや肺炎などの感染症にかかり、高熱で苦しんでいる」「脳卒中などで急に倒れ、意識を失ってしまった」……。
こういうときは病院の「治す医療」が頼りになります。高度な検査機器や医療設備があり、医師や看護師などの専門職のスタッフが常駐していて、集中的な治療が受けられるからです。
それに対して、在宅医療は「支える医療」といえます。
在宅医療では、患者さんの自宅を医師や看護師が訪れるため、患者さんは病院にいるときに比べ、とてもリラックスした状態で診療を受けられます。
認知症の始まった患者さんも、住み慣れた自宅で療養していると
進行を抑えられることがよくあります。
また、医療者が患者さんの介護をするご家族と直接話ができ、食事や服薬などの生活の様子を把握することもできます。
高齢者が薬を飲み忘れることが多いのであれば、薬の種類や服薬の回数を見直す、といったきめ細かいサポートができるのも、在宅医療の利点です。
医療の内容も、どういう治療を受けたいかという患者さんの希望に沿って方針を決めます。
急性期を過ぎた患者さんの療養生活全般を支えること。それが在宅医療の〝得意分野〟だということです。
病院医療と在宅医療は、どちらかが優れていてどちらかが劣っているというものではなく、二者択一で考えなければならないものでもありません。それぞれの〝得意・不得意〟を理解して、使い分ければいいと思います。
特に、高齢者や心臓疾患、脳卒中、がんなどの大きな病気を経験した人とその家族では、在宅医療という選択肢を知っているといないとで、その後の人生のQOL が大きく左右されます。
自分がどのような治療を受けたいかよく考え、自分に合った医療を受けてください。